つながりと対話を大切に――農業の現場で培う信頼と挑戦
千歳市の職員を紹介する連載「Spirit of CHITOSE」。ここでは、様々な場面で活躍している職員を紹介しています。
今回は、農業振興課 農産係に所属するSさんです。
PROFILE K.S
産業振興部 農業振興課 農産係 。2022年に新卒(大卒)で千歳市役所に入庁。農業振興課農産係に配属され、現在は3年目。趣味はテニス、スキー。
ー普段の仕事内容について教えてください。
S:私がいる農産係は、生産から出荷までの取組に対する支援、施設の整備(補助金の支出)などを通して、市内の農家さんを支える仕事を行っています。新しく農業を始めたり、魅力的な産地づくりにつながる取組や、需給に応じた生産を支援することで、市内の農業を維持・拡大することを目的に業務を行っています。
例えば、農家さんがビニールハウスを建てたり環境に優しい営農活動を行ったりする際、国や北海道に補助金を申請するための調整役を担います。
補助事業は税金を使うので、書類の作成には大変厳格な基準が求められます。「なぜこの施設設備に補助金が必要なのか」、「実際に実現可能な取組なのか」という理由などを農家の方と相談しながら書類を作成します。
ー仕事のやりがいや魅力は?
S:やりがいですか…やっぱり、農家さんから「ありがとう!助かったよ」って言われるときですね。部署によっては、市役所の仕事って成果が数字で見えにくいことも多いと思うんです。だからこそ、私は"気持ち"や"想い"を大事にしています。そうやって感謝の言葉をもらえると、「次も頑張ろう!」って思えるんですよ。単純ですけどね(笑)。
あと、いろいろな業界を知るのが好きなので、市役所職員にならなければきっと知ることがなかった農業の世界を学べるのも楽しいです。農業は奥が深くて、難しいことも多いですが、それがまた面白いですね。
ー印象に残っているエピソードはありますか?
S:少しマニアックな話なんですが、入庁1年目に「環境保全型農業直接支払交付金制度」※という補助事業で、支援の対象になる作物を増やしたことが印象に残っています。
入庁して半年が経った頃だったと思います。仕事にも少しずつ慣れてきて、「もっと主体的に仕事に取り組みたいな」と感じ始めていたときでした。「千歳市では薬草を育てている農家さんもいるのに、なんで薬草が対象じゃないんだろう?薬草が対象になったら助かる農家さんがいるかもしれない」と思ったんです。
ー自分の思いどおりに進められましたか?
S:正直、最初は全然わからなかったです!(笑)
初めに栽培方法に関するマニュアルのような資料をもらったのですが、専門用語が多くて、農業の知識がなかった私にはなかなかハードルが高かったです(笑)そんなとき、「あ、知り合いの農家さんで今(こん)さんがいるじゃないか」って思い出して、すごく心強かったですね。わからないことが出てくると、今さんに「これで合ってますか?」ってよく確認させてもらっていました。今さんと知り合っていなかったら、薬草を補助対象にする第一歩を踏み出せていなかったかもしれません。
というわけで、今さんにSくんとの出会いを聞いてみました。
異動しても"ひとりの人間"として関わっていきたいと思える存在
今さん:初めて会ったとき、「明るくて好青年な若者だな」と感じました。農家の研修会で隣の席になり、積極的に話しかけてくれたのが印象に残っています。薬草はあまりメジャーではないので、最初は補助金の対象ではなかったんです。でも、Sくんが薬草でも補助金の対象になるように国や道に働きかけて設定してくれました。何事にも一生懸命で、わからないことがあれば積極的に質問して動いてくれるので、すごく頼りにしています。
市職員だから異動は避けられないと思いますが、異動してもひとりの人間として、これからも関わっていきたいと思える存在です。将来的には、農業の部署に戻ってきてほしいというのが本音ですね(笑)。
今さん、ありがとうございました。Sくんのインタビューに戻ります。
ー仕事をするうえで大切にしていることを教えてください。
S:「人のつながり」はとても大切にしています。職場の先輩や同僚はもちろん、他の課の人とも、いろいろな場面で関わることがあるので、つながりを大事にしています。さらに、農家さんや農協とも一緒にタッグを組んで仕事をすることが多いので、農業のことは実際に現場にいる方たちに聞かないとわからないことがたくさんあります。本音でいろいろ聞ける関係を築くことがすごく重要だと感じています。
そのためにも、研修やイベントにはできる限り参加するようにしています。「フットワークの軽さ」も自分の強みだと思っています。新しいつながりや、知らなかった一面を発見するチャンスでもあるので、興味があって参加できそうなものにはどんどん飛び込んでいくスタンスです。
ーこれからどんな職員になりたいですか。
S:市民の方や同僚が気軽に相談しやすい職員になりたいですね。市役所は人事異動があるので、部署が変わったときに「私の担当じゃないので…」ではなく、「あの人なら詳しいですよ!」と他の担当者を紹介できるようなつながりを作っていきたいと思っています。そうやって、"頼りやすさ"と"人のつながり"を活かして市民のみなさんにも役立てる職員になれたらいいなと思います。
ー市役所の入庁前後で職員のイメージにギャップはありましたか。
S:部署にもよるとは思いますが、入庁前はもっとルーティンワークが多いイメージでした。でも、実際に入ってみると、若手の自分でも意見を言える場があって、ある程度の裁量をもって仕事ができるんだと感じました。自分から動けば、新しいことにチャレンジできる環境があるのは、想像以上にありがたいですね。
ー最後に受験生へメッセージをお願いします。
S:入庁して3年目になりますが、最初は周りに知人もいなくて、すべてが初めてで不安ばかりでした。でも、今では同期や先輩、趣味で知り合った方々のおかげで、仕事もプライベートも充実した日々を送っています。
就活中は勉強や面接練習、エントリーシートの作成などで、時間が全然足りなかったのを覚えています。早めの準備が、良い結果につながるはずです。たくさん悩んだうえで、千歳市役所を選んでくれると嬉しいです。良い就職活動になるよう、応援しています!
※記事内容は、2024年12月時点のものです。